動物検疫まとめ

日本からアメリカ本土へネコを連れて行き,一年で日本へ戻ってくるための諸手続きについて,他の人の参考になるようにまとめておく。
一番大きな障壁は,日本は狂犬病発生のない国,アメリカ本土は狂犬病発生のある国ということである(アメリカでもハワイは狂犬病発生のない地域)。そのため,アメリカ本土は日本政府から動物検疫の「指定地域以外」という部類に属している。アメリカからネコ(犬もほぼ同じ)を連れて帰るには,狂犬病を持ち込まないという保障を与えなければならない。
日本の農林水産省から指定されている条件は下記の通り。

  1. ISO規格のマイクロチップを装着する。
  2. 一ヶ月以上の間隔をおいて,狂犬病の予防接種を2回する。
  3. 血液中の抗体検査をして,抗体値が0.5IU/ml以上であることを確認する。
  4. 180日以上待機する。
  5. 帰国2日前に狂犬病にかかっていないかの診断を受ける。
  6. 上記を証明する書類を作成し,輸出国政府の承認を受ける。

これはアメリカ本土を含めた世界中の「指定地域以外」に適用されるルールなので,アメリカでは実際にはどうなるかの情報はなかなか得られない。シリコンバレー地域で実際にやった手続きとしては以下のようになる。

  1. アメリカ本土ではISO規格のマイクロチップは普及しておらず,通常の動物病院で装着されるのはHomeAgain社あるいはAVID社の独自規格のものになるらしい。Los Altos, CA の Adobe Animal HospitalではHomeAgain社のものが装着されたが,日本の各空港の検疫所ではHomeAgain社のチップが読めるリーダを装備している模様。少なくとも関西空港では問題なく読み取りができた。
  2. 普通に狂犬病予防接種を受ければ問題なし。
  3. アメリカではこの検査を受けられるのは Kansas State Universityのみ。上記の病院では血液採取から送付,検査依頼まですべて請け負ってくれた。費用は百数十ドル。
  4. 180日経つ前に,急遽日本に帰らないといけなくなった場合はあきらめるしかないのであろう。
  5. 実際には2日前でなくても10日前くらいでも許容される模様。日本での検疫とは別に,United航空の場合は搭乗の30日前以内に検査を受けた証明書が必要。
  6. 日本政府指定のForm Aは自分で,Form Cは動物病院で記入してもらう。その後,ベイエリアの場合は,South San FranciscoにあるUSDA(アメリ農水省)のオフィスに出向いて署名をもらう。この時に,Form A,Cを記入して署名した医師がUSDAから信任されているかどうかの確認がある。上記病物病院の場合は大丈夫であったが,リストに載っていない場合には署名を受けられない可能性がある。予約の必要あり。費用は$24でクレジットカードまたは小切手で支払い。

必要書類を揃えて到着空港の動物検疫所にFAXで送っておくと,事前チェックをして頂けるだけでなく,到着時に迅速に処理が進む。ただし,USDAの署名をもらった後に不備が見つかると書き換えは許されず,もう一度署名をもらう必要があるので,できれば,USDAの署名をもらう前に必要な情報が記載されているかチェックをしてもらったほうがよい。